『殻の中の小鳥』『雛鳥の囀』から見るヴィクトリア朝2

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貨幣価値

 ゲーム中に登場したポンドは以下、ゲームポンドと表記します。ポンドという表記は現実の当時のポンド通貨とします。

 まず、現代のシステムと異なり、ポンドは当時のシステムでは1ポンド=20シリング=240ペンスという体系を持っていました。
 対してゲームポンドは現在の円のように補助貨幣単位が提示されていません。『雛鳥』のカースン姉妹で言及される「銅貨」や大衆食堂での金銭消費がないことを考えると、設定上は補助単位が想定されているのかもしれません。しかし、ゲームシステムに反映していない以上、これを無視して、補助通貨なしとして考えます。
 『殻鳥』においては、ALL EDやカジノのBET単位など、1ポンド=100ゲームポンドとしているような節も見られます。しかし、これでは物価、特に娼婦の相場に比して非常に高価になってしまいます。
 当時の最高級の娼婦が一晩5、6ポンド。普通の高級娼婦が一晩1、2ポンド。そして『殻鳥』における「お茶くみ」の接待ボーナスが400ゲームポンド。1ポンド=100ゲームポンドではあまりにも釣り合いがとれません。
 もちろん、当時10ポンド超を要求する超高級娼婦がいなかった訳ではないようですが、バートン邸が一種の高級クラブであった事に鑑みても、お茶組みのチップが4ポンドは高すぎます。
 ポンドとゲームポンドの換算レートはそれだけで物価比較本が1冊作れてしまうほどの問題なので、詳しいことは省略しますが、諸物価比較より、1ポンド=500〜5000ゲームポンド程度と推測されますが、更に絞り込むと、1ポンド=1000〜2500ゲームポンドあたりが一番無難な線と思われます。
 本講においては切りが良いところで1ポンド=1200ゲームポンドとしておきます。当時のポンド貨幣システムにより、12倍数にしておいた方が切りが良いのです。


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