１９世紀が舞台ですが、キュレイポート事件のモチーフは１７２１年のフランシス＝ベーコンの汚職事件とみてまず間違いないでしょう。王室を巻き込んだ政治の中枢での大スキャンダルですし、コードナンバーの存在や、数字を使った暗号変換（ベーコンは２進法によって文字を数字に変換していた）がその根拠です。
英国王室にスキャンダルは付き物で、ヴィクトリア女王にも醜聞はあります。しかし、大規模な汚職とか資産云々そして何よりも数字を使った暗号という要素を持つのは他に見当たらないので、ベーコンのスキャンダルが正解と考えます。
ドレッド＝バートンのタウン・ハウス。その実体は超高級娼館といって差し支えはないでしょう。
バートン館に訪れる客は貴族を含めて「相当な」面々なのですが、そのような紳士たることを強制されている人たちの家庭における性生活は「まるで湯たんぽを抱いているよう」と表現されるほど味気ないものでした。これは別にその奥様方の責任とは言えません。当時淑女たる女性はそうなるように教育されていたのです。
そのような中で、バートン館のメイド達のように訓練され、（病気などを）管理された少女達は非常に魅力的だったことでしょう。街娼とちがい、醜聞の心配もなかったでしょうし、なにより、バートン館はあくまでもバートンの屋敷であり、クラブでもましてや娼館でもなく、友人宅へ行くだけですから。
ところで、ドレッドの頃と異なり、キャロルの場合にはメイドによる「接待」は本当に必要だったのでしょうか。私は疑問符を外し切れません。