出自は明示されていませんが、凍えそうになっていたところをフォスターに拾われたという過去を考えると、労働者階級の出身とも推測できますが、教会へ色々と寄付していることを考えると、救貧院・孤児院の出とも考えられます。教会へ敬意を払うのは本来ある程度の収入のある者なので、没落した中産階級出身ではないか、とも考えられますが（実際、ゲーム中では教会では「お嬢様」と呼ばれる）、それにしては質素な生活に慣れすぎています。そのようなところからあれだけの能力を身につけるのは並な
らぬ苦労と努力の賜物でしょう。
フォスターからもらっている給料も並ではありません。週給１ポンド６シリングとは並のメイドの４倍以上の給料です。最上級のメイドと比較しても相場の２倍以上です。衣食住は住み込み故に保証されているので、可処分所得で見た場合、ＥＤで教会のシスターが言ったように金持ちといって間違いないです。
それにしても週給よりも専属の方が遥かに安い料金を提示することによって、専属化を暗に要求しているのはなかなかかわいらしいではないですか。
ゲーム中では明示はされておりませんが、キュレイポートの構成員だったと見て間違いはないでしょう。しかし、１９世紀における女性の地位は極めて低く、そもそも財産権が認められるまで非常に時間がかかりました。
女性が教師や作家以外の専門職や一般事務職に多数進出するようになるのは１８８０年代後半以降です。もちろん、１８５０年代中盤に起こったクリミア戦争においてナイチンゲールが輩出したように、例外はありました。スミスもその貴重な例外の一つなのでしょう。
スミスはキュレイポートの事件後は中流下層クラスまで落ち込んだような描写がありますが、雛鳥ＡＬＬ＿ＥＤにおいてのゲームの元金もスミスが出したような節があります。そこそこの財産はため込んでいたのではないでしょうか。
彼女たちの話にヴィクトリア時代の陰部が詰まっています。旦那様に手を付けられて（断れば当然 解雇）懐妊すれば追い出され、最下層の生活を余儀なくされる。幼いうちから体を売って日銭を稼ぐ。当時の英国では１０歳に満たない娼婦もいたという話もあります。そもそも、下流階級の平均寿命は 実に１５歳という恐るべきレポートもあります。その館がどういうところか判っていても、生きてい くためにはその場で望みうる最高のチャンスを生かそう、という判断だったのでしょう。
娼婦にもランクがあります。アイシャについては後述するとして、その他の娼婦達ですが、娼館に所属している点と、ある程度客を選んでいる節がある点から、上の下から上の中程度の娼婦と思われます。
余談ですが、雛鳥よりも殻鳥の方が娼婦のグレードが高いような気がします。
ゲーム中にフォスターに拾われて館に連れ込まれる少女達はほぼ全て、「人間的な」生活レベル・社会的地位から転落しかけている・転落した娘か、初めから下流階級に生まれた娘です。違うと言えそうなのはクレアとモニカぐらいでしょう。下流階級の悲惨な生活はチェリーやカースン姉妹からかいま見えますが、現実は想像を絶する世界でした。
また、当時の男女比率は資料によっては１：１０とされるほど、女性が圧倒的に多かったのです。これは人口の大多数をしめる下流階層の人々は、そのあまりにも悲惨な環境故に、基本的生命力の強い女性の方が生き延びられたのでしょう。
このような社会条件ゆえに、金にものを言わせれば、フォスターのようにわりとあっさりと身請けしてくることが出来たのです。