主人公。本人は自分が金持ちなのではなく、金持ちの下で働いているだけだ、と称していますが、フォスター自身、とんでもない金持ちです。
鋭い人は『殻鳥』のオープニングで、廃屋でただぼうっと座っていた、というだけで中産階級の上層クラス以上の金持ちと見抜けるはずです。
廃屋、ということは地代家賃収入を生み出さない全くの無駄な存在で、そこで働きもせずにいられる、ということは働く必要のないだけの収入が確保できている、ということです。キュレイポート事件において行方不明となった財産の１部、それでも相当な額のものを保持していると推測できます。
『雛鳥』のリズＥＤではあっさりと、１００万ゲームポンド程度ならば時間をかけずに用立てることが出来る、といっています。換算して約８３０ポンドというこの金額は、中層中産階級の年収の２年分以上で、その階層の人が貯金するのには実に１０年以上はかかる大金です。現在の日本で言えば数千万円にも相当するでしょう。
『殻鳥』ではボーナス分はフォスターとメイドとに同額が支払われました。また、基本給は執事であるフォスターの方が当然に高額でしょう。『殻鳥』ＡＬＬ＿ＥＤでの給料精算ではメイド達は「上手く使えば一生遊んで暮らせる額」を得ました。そうするとフォスターの受け取ったであろう金額はとんでもない金額になりそうです。
『雛鳥』開始時点で非常用の、ウェラクスタとの全面戦争用の資金として隠し持っている資産が少なくとも数十万ポンドはあると推測しています。実際、これでもゲーム中にフォスターが述べたように不足でしょうが。
館の保全で争うと、行き着くところは保全に関する個人法の制定と維持なので、法案を提出させるだけで千ポンド単位の金がかかり、それをウェラクスタの妨害を振り切って成立させ、維持するための工作費を考えると国家予算並みの金がかかるでしょう。
また、それだけの金があればこそ、キャロルを追い出した後も多数のメイドを雇い続けられるのでしょう。
キュレイポートに参加できた点や実務能力の高さから言って、出自もそこそこのものでしょう。恐らくは上層中産階級か下層上流階級の次男以下と推測しております。中層中産階級クラスではキュレイポートへの参加は難しいでしょうし、中層以上の上流階級ではいかに家督相続権がない次男以下でも実務能力は疑わしいです。
フォスターから求婚された唯一の娘。上層中産階級のドレッドの娘なので、階級的にもフォスターとの結婚に問題はないです。フォスターも執事である以上、使用人同士と言うことで他のメイドとの結婚も可能なのでしょうが、どうしても出自の身分を拭うのは困難です。
現実にはいろいろと特殊条件や例外もありますが、原則的に１９世紀に「御主人様」と結婚できた使用人（労働者階級）は出自が中産階級以上のものです。
性格的には少し取っつきにくい印象を与えるかもしれませんが、感情を表に出さないということは英国の紳士淑女に求められている基本姿勢なので、出自と現在の姿との双方から見てもレディと言えます。
商人、事業につまずいて転落したものの、もとは中層中産階級であったであろう商人の娘。その出自故に、フォスターと結婚できる身分的な資格があると言えるでしょう。識字率が決して高くはないあの当時に、館や大学の本を読み漁ることが出来るというのは館に来る前の基礎教育の高さ（間接的にこれが出自の階級階層の高さを証明します）と学習意欲の旺盛さを示しています。
とはいえ、つまずいた家庭の少女の行き着く先はどうしても体を張った商売になってしまうのが実状なので、フォスターに拾われたのは幸いなこととも言えるでしょう。
国名は出されていないものの、どう受け取っても日本人。明治維新が１８６８年ですから、渡英は全くの不可能ではないでしょうが、非常に困難なものだったでしょう。レンの両親が古美術商というのは至極真っ当な話で、当時の日本の輸出可能商品のうち、もっとも珍重されたものの一つでした。
そもそも当時の日本の商人は現代ならJAROと公取委と詐欺容疑で検察が纏めて来るような商売形態だったので無二の商品である美術品ぐらいしか商売にならなかったとも。
年代的には一応、既に国交は成立していたので、フォスターがレンの故郷を調べるのも、そして渡英出来るほどの豪商であったレンの家族を捜索するのは、時間はかかっても不可能ではないでしょう。
街娼出身。当時、娼婦はフランスのように公認ではないものの、違法ではない、という微妙な立場でした（現代も未だにそのようですが）。そして、貧富の差が激しい英国において、娼婦は女性が生き延びるために選ばざるを得なかった職業の一つであり、実の所、よく見かける存在でした。
街娼時代のアイシャは、高級娼館に所属していない（本当は娼館は違法ですが）こと、帽子を被っていないこと、帽子以外の服装はしっかりしていること、安くはないこと、以上の条件から、中の中から中の上クラスの娼婦だったといえます。
『雛鳥』エミットＥＤはあるものの、ＡＬＬ＿ＥＤを本筋と考えれば、フォスターとは結ばれなかったのですが、娼婦から酒場の女主人になる、ということは当時としては驚嘆すべき出世といえます。
もう、石畳の上で寝るのはいや、彼女はそう叫びました。そのような生活を余儀なくされた人々は、困ったことに珍しくはありませんでした。極端な貧富の差がロンドンを現代のバビロンと呼ばしめた原因の一つでした。
チェリーＥＤでは彼女が幼いので当局に目を付けられた、という旨の話になっていますが、性に関する承諾年齢が１８６１年に１２歳、１８７５年に１３歳と定められていました。当局が目をつけると言うからには、チェリーの実年齢はこれすらも怪しかったということでしょうか。
ちなみに、１８６１年以前は年齢が明確にされていなかったので、文字どおり無法状態だったようです。
このチェリーは98DOS版なのでチェリー改めらんぼ改めクララのことです、とか言って判る人がどれだけ居るのだろうか(笑)