| 坊ちゃんはエマと結ばれ得るか？ |
結論から言えば「やりようはいくらでもある」実力者は身分差なんて乗り越えられるものである。 問題は作者の森さんがどのような手段で問題を解決させるか。取り得る手段を列挙してみよう。 |
| １ａ | アイルランドで駆け込み結婚 |
| 最も流行した手段。アイルランドでそこいらで立会い人を捕まえて略式で結婚してしまう。 法的には正式な結婚ではないので、神の前で結婚の誓いを立てた既成事実を盾に周囲に認知させることになる。 | |
| １ｂ | 自由の国アメリカへ出奔して結婚 |
| こちらはかなり現実的な駆け落ちオプション。イギリス文化圏でありながらリベラルな国家への逃走。アメリカでも 支配階級はイギリス以上に身分区別は厳格だったりするが、支配階級を望まなければそこは自由の国。 | |
| １ｃ | 未開拓地ブラックアフリカへ逃げ込んで結婚 |
| これも当時流行した手段。ただし、探検ブームによってアフリカは既に有閑階級（＝上流階級）が大量に居り、 また、白人のぼんぼんがそうそう白人居留地から離れられるはずもなく、身分違い婚で逃げ込むと下手すりゃ本国以上に いじめられるので注意が必要。 | |
| １ｄ | 最後の新天地オセアニア州（オーストラリア・ニュージーランド）へ逃げ込んで結婚 |
| 植民地では最もリベラル……というよりも食い詰め者の流れ着く先なので「まともな」白人は少なく、そのため 現実問題として看板よりも現実が大切。身分違い婚の逃げ込み先としては震空館の同人誌でも使ったことがあります。 | |
| １ｅ | お友達のハキムくんの所（インド）に逃げ込んで結婚 |
| 単にインド、というだけでは本国と同じだが、マハラジャなお友達ハキムくんの庇護があれば現地では何も言われることは 無いでしょう。ただしハキムくんに奪われる可能性があるので注意が必要かも。 | |
| １ｆ | エマを看護婦（助産婦）にして日本に逃走して結婚 |
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クリミアの鬼婆ナイチンゲールの活動でヤクザな商売だった看護婦が海外派遣看護婦に限っては非常に地位が向上し、レディ
が志す職業の一つにまでに。特に日本の助産婦技術は当時世界一でイギリスなど及びもつかず、そのため日本は人気があったり。
で、日本は異人さんと日本人の結婚は大問題でも異人さん同士の結婚は身分など知ったことではないので、日本で医者でもやるか
英語教師にでもなればもうウハウハですよ。それに日本で経験を積んだ看護婦とあれば高い評価は得られますから本国に帰っても
まぁ何とかなるでしょう。 落とし穴はボーア戦争。紳士の義務として坊ちゃんが従軍し、エマは従軍看護婦となり、チャーチルと一緒に軽騎兵が突撃で 全滅でもう大変、とか。 |
| ２ａ | エマを継承人にして先生が死亡、エマは先生のレディの地位を継承で障害解消 |
| 前号から先生が死にそうなものなので。まぁ、事実上２ｂと一緒のようなものですが、先生が死んでから結ばれたら こっち、ということで。 | |
| ２ｂ | エマを養女にしてレディの娘に仕立てて身分問題解消 |
| 先生の必殺技。出自はどうあれ養女にしてしまえばレディの娘はレディです。はい。 |
| ３ａ | 坊ちゃん家が事業に失敗して身分どころではなくなる |
| 坊ちゃんの家は前々回を見るに、商社ですよ。地代収入でケアレスに暮らせるノーブルな「本当の」上流階級とは 訳が違う、成り上がりか左前と判断されます。ということは当然没落がありえます。没落してしまえば体面 どころではないですね。 | |
| ３ｂ | 坊ちゃん以外の家督相続人が居て坊ちゃんは自由の身 |
| 家督相続人（通常は長男）以外は本家がダメージを受けない最低限の資産のみを与えられる、場合によっては 何も無し、というのが現実。市街に住む限りは多少の身分問題は「ジェントルマンかもしれないがジェントリではない」と大目に 見られる可能性大。放り出されるときに身分も捨てる気があれば捨てられるか、ということ。 | |
| ３ｃ | 坊ちゃんが「マイ・フェア・レディ」する |
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あの坊ちゃんにそんな甲斐性はないとおもわれつつも、恋愛ものとしては非常にオイシイ展開。 ……「マイ・フェア・レディ」を知らない人は居るかな？物好きな有閑階級が下層の身分の女性を教育して淑女に仕立て上げて しまう話。実際問題、エマは先生に長く仕えているので言葉はマスターしているはずなので、あとは立ち居振舞いだけ修行すれば…… これも先生の代理を務めるあたり何とでもなるでしょう。 | |
| ３ｄ | 坊ちゃんの家が身分を障害では無くする程にノーブル |
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本当の上流階級はその権勢を背景に身分違いなど無視できるのですね。白と言えば黒も白になる、という訳です。 でも、親父が身分云々を口に出す時点で大した家ではないのでこれはまず無いでしょう。 | |
| ３ｅ | 坊ちゃんが勘当を勝ち取り庶民化する |
| ３ｂと同様ですが、坊ちゃんが自分から家を捨てるならばこっち、ということで。あの坊ちゃんにそんな 度胸があるかどうかがポイント。 | |
| ３ｆ | 結婚を諦め、代わりにエマを坊ちゃんの近侍もしくは上級職で雇用し囲う |
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コレだッ！ コレなのダッ！！ コレこそが全てのメイド者の理想にして最適解、窮極にして至高の結末なのなのダッ！！！ そもそも閨において湯たんぽだの木偶人形 だのと表現され、日常は監督と称してメイドさんを顎で使う以外なにもしない存在に如何程の価値が 在ると云うのか？ ましてやその様な状態に成り下がったエマ嬢に如何程の魅力が在ると云うのか？ 木偶人形に過ぎない奥様に成り代わって主人の寵愛を一身に受け、且つ、その行為は 「奥様の品位を守るためにはむしろ推奨されること」と肯定され、同時にエマ嬢の明るく快活かつ聡明な魅力を損なうことなく 更に、下衆共の妬み嫉みを圧殺する上級管理職のメイド。そして上級管理職であるが故に老後の年金や恩給や慰労金の支給 のみならずハウスキーパーからハウスクリーパー（家庭内同居人）へのシフトをも可能とし、 死が２人を分かつ時まで添い遂げることが出来るのダッ！ ついでに、本妻を「ヴィクトリア朝的貞淑さを以って」取り扱えば子供は作らないだろうから、「念のための」庶子をエマ嬢 に産んでもらうことまで期待できる。 つまり、彼女がメイドであることには法的な結婚が為されていないと云うこと以外は 一切の問題は無く、むしろメイドであるが故に惜しみなく愛情を注ぐことが可能となるのダッ！！ 問題は森さんがこの選択肢は採りそうに無いことか。 |
| ４ａ | 破局を迎える |
| この結末、無いとは思うけど森さんの技量なら綺麗に纏めてくれそうなのが非常に怖い。 |
| 以上のような訳で、展開予想としては本命２ｂ、次点３ｅ。但し、個人的理想は３ｆとなります。先生が亡くなって、 行く当てがなくなったエマ嬢を……ということは十分ありうるかな？ |